お知らせ・活動報告
JOIAからのお知らせ・活動報告
有機JASアップデート 充実の解説
2017年4月26日。企画当初予定していたわけではなかったのですが、改訂したJAS規格の施行日に、規格解説のセミナーを開催しました。
講習は、第1部で今回の規格改正のポイントの解説、第2部で国会で審議されるJAS法の改正について、第3部は、昨年の認定の技術的基準の改正のおさらいという構成ですすみました。講師の丸山氏は、JAS規格調査会委員として、会議中に交わされた情報もまじえながら、わかりやすく説明していきました。ただし、当初は改正した部分のQ&Aがでていると想定していたのですが、セミナー当日までにはなく、判断がわかれるところや、確定しにくい箇所もありました。特に、今回は「きのこ」の生産にかかわる部分の改訂が多く、「ここをQ&Aで説明してほしいですね」などと参加者との間で疑問を確認する場面もありました。これらは、丸山氏から農水省に要望をだすことになり、結果が反映されるのを期待して終了しました。
参加者は、登録認定機関、検査員、認定事業者や流通業者の方々など、さまざまでしたが、休憩時間には参加者の間で情報交換もされ、充実した時間となりました。
オーガニックレストラン認証は発展中!
2016年8月6日(土)、東京・京橋の中央区立環境情報センターにて、オーガニックレストラン認証の説明の会を設けました。
この認証は、まだ日本では発展途上。二つの認証機関が試行錯誤しながら立ち上げたもので、それぞれの特徴がみえ、これからどんなふうに展開していくのか、楽しみになりました。
JONA(日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会) オーガニックの食材の使用比率を評価しながら、初級、中級、上級と星の数でみせようという仕組みである。たんにオーガニックの食材を使った料理を食べるということをすすめるというより、オーガニックに触れる機会としてレストランを位置づけ、「オーガニック=地域、自然、社会とのつながりを感じる=楽しい」という価値観を共有していきたいという姿勢がみえた。
リーファース サービスを受ける立場にたち、情報の正確さを問うているのが特徴。従業員へのオーガニックの教育を重視し、変化の多い食材への対応を期待している。メニューにはオーガニックの比率がわかりやすいマーク(辛さを示す唐辛子の個数のイメージ)をつけることができる。真のオーガニックをきちんと伝えることが大事にされる。メニュー一つからでも、認証がとれるというところで、幅広く取り組みやすい仕組みがみえた。
現在、レストランでオーガニックの食事を提供している方、オーガニックの食材を提供する方、オーガニックの検査をしている方などから様々な質問があげられ、今後の認証プログラムが実需者のなかでもまれ、よりよいものにするための意見がでました。今後、この二つの認証機関のプログラムが、全国レベルでどのように広がりを見せていくか?参加者は、そのあと認証をうけたレストランでおいしい食事を堪能しながら、オーガニックへの取り組みの真摯さに触れたり、他地域でのこの認証の展開について模索したりという熱い時間をすごすことができました。
福岡で意欲あふれる受講生がJOIA/IOIA研修に!
2016年1月23日~26日にかけて、福岡でJOIA/IOIA検査技術講習会の加工コースを開催しました。
この講習は、2015年7月に、ホールフード協会のメンバーの要請をうけて、農場コースを開催した結果、
「検査員になりたい!!」という意欲あふれるメンバーから、「ぜひ、加工コースも!」という声を
うけて、開催する運びとなりました。
すでに農場コースに参加された方が多いなか、新たにチャレンジされた方も!平年にない大雪のなかの
模擬実習も無事こなし、みなさん、無事に修了の運びとなりました。
参加者のおひとりからいただいた感想です。
オーガニック食品に興味を持ち始めまだ日が浅く、研修前はどのように勉強すれば良いか不安でいっぱいでした。
いざ講習が始まってみると、講師の方々の教え方が上手で、かつこれまで実施されてきた検査の様々な体験談を交えながら講義いただき、初心者である私にもとてもわかり易く、イメージしながら講習を受けられましたのでとても勉強になりました。
研修時は、福岡ではめったに無い積雪というアクシデントに見舞われ、滑る道路を歩きながら講習会場まで行き来した事、タイヤチェーンを巻きながら八女市までの模擬実地検査を行った事等、思い出に残るハラハラドキドキの4日間でした。山口
オーガニックコットン勉強会と圃場見学~「タビオ奈良」を訪ねて~
JOIA関西支部7月例会報告
7月25日、太陽が照りつける中、奈良県広陵町のタビオ奈良㈱を訪問し、オーガニックコットン栽培圃場見学と勉強会を開催しました。今回は作吉JOIA理事長のはからいで、JOCA(日本オーガニックコットン協会)との共催が実現し、JOCAの方々やコットンに関心のある異業種の方もあり、15人が参加しました。
■綿花の畑を見学
タビオ㈱(本社:大阪市)は、メイドインジャパンの靴下屋さん、日本の職人の繊細な技術によるものづくりにこだわったメーカーです。国内に250店舗、海外にも50店舗を展開し、注目を集めています。靴下を製造するだけでなく、東北コットンプロジェクトを立ち上げ、3.11で塩害に苦しむ田んぼで綿花栽培をするなど、社会貢献もされています。
その子会社であるタビオ奈良㈱が奈良県広陵町にあり、オーガニックコットンを栽培しているということで、まずは圃場を見学させてもらうことに…。
圃場は広陵町広瀬というところの田園地帯の中にありました。5月末に播種した綿花は20cm~50cmほどの背丈まで伸び、小さなつぼみをたくさんつけて、風にそよいでいました。
農薬や化学肥料を使わずに栽培しており、圃場に入ると、コオロギがピョンピョンと元気に飛んでいました。それでも葉っぱはツヤツヤと美しく、また、茎がしっかりしているように思いました。まもなく花をつけ、秋にかけて背丈も1m以上に成長し、11月には収穫を迎えるそうです。
■会長さんのお話
その後、本社の会議室をお借りし、オーガニックコットン栽培の勉強会を開きました。
最初にタビオ(株)の越智直正代表取締役会長のお話がありました。コットンは塩分を多く含んだ土壌でも育つということで塩害対策として始めた東北コットンプロジェクトでしたが、コットンは気温25度を保たねばならないとされているので、最初はつめたい風の吹く東北で栽培できるのか非常に不安だったと当時を振り返っておられました。靴下屋の会長さんなのに、なぜか「素足」です。聞いてみると、工場を廻った時にさっと靴下を履いて、出来上がりをテストするために、いつも裸足なのだそうです。会長のゴーサインが出ないと製品にはならないとのこと。
「ちまたでは外国産の安い靴下があふれているが、1足あたりの原価はたった49円。安い綿糸を使っていいものができるはずがない。タビオは国内産の綿糸に徹底的にこだわった製品を作り、儲けより品質を追究している」と力説されました。
引き続き、タビオ奈良㈱の平井修司代表取締役社長も、「造って喜び、売って喜び、買って喜び」をめざしてがんばっていますとお話してくださいました。タビオは近々オープンするイオンモール新都心にも参入するそうです。
■オーガニックコットン栽培へのとりくみ
タビオ奈良(株)研究開発事業部の島田淳志さんは、ここ奈良の綿花圃場で栽培指導をされています。2009年に40aから始めた綿花栽培は、広陵町の耕作放棄地や休耕地を借り上げ、現在では5haにまで栽培面積を増やしてきました。シルバー人材センターを活用し、平均71歳の9人の作業員が島田さんの指導のもと、働いています。
播種、から収穫後の管理にいたる生産プロセスのコツを映像を交えながらわかりやすくお話してくださった中で、最も印象に残ったのは、害虫駆除についてでした。
奈良県では5月中旬から6月にかけてヨトウムシが出没し、せっかく発芽し、開いた本葉をまるごとプツッとくいちぎってしまいます。被害状況をよく観察してみると、ヨトウムシは1箇所(1穴)に1匹、一晩に1本を食いちぎるとわかりました。1穴には3粒の種子を播きます。そこで最初の被害があったときに、虫の居場所を突き止め捕獲すれば、残りの2粒から育った苗は助かるというわけです。ヨトウムシ被害が収まってから間引きをし、優良苗を1本残して育てていきます。駆除を繰り返しおこなったせいか、今年はヨトウムシの生体が減り、被害が少ないそうです。
また、アブラムシもつきますが、これは大雨が降ると消えてしまうことがわかりました。ナメクジはなかなか手ごわいのですが、これもよく観察してみると、新芽にはつくが、本葉にはつかないことがわかり、それなら新芽の時期は育苗施設でポット育苗し、本葉が出揃ってから本田に移植すればよいと気づいたということです。害虫は、ほかにも芯食い虫やコオロギがいます。綿花を雑草と共生させることで、雑草に害虫を誘導し、綿花が害虫に耐えられるまでに成長するのを待って、草刈を実施するようにしているそうです。多勢に無勢、戦っても勝てないのであり、害虫は「撃退するより共存へ」と考えを改めたと話していました。
それにしても、そのたゆまざる観察と粘り強い取り組みには脱帽し、感嘆しました。コスト削減、収量アップ等の課題を見据えながら、これからもサスティナブルをめざしてがんばっていきたいとしめくくられました。
■フリートーク
島田さんのお話のあと、参加者の質問やフリートークの時間をとりました。ここには書ききれないので、詳細は割愛しますが、品種によって様々な特徴があること、今や世界中で栽培されるコットンのは90%がGMOだということ、収穫後の残渣の活用方法、隣接からの飛散の防止方法、他地域のコットン栽培等についてなど、多岐にわたって活発な意見交換がなされました。
■おまけ
解散後、最寄駅前の居酒屋で、タビオ奈良の島田さんを囲んでJOIAメンバー恒例の飲み会をやりました。島田さんが履いていたタビオの靴下を見せてもらってビックリ! モダンな色使いとデザイン、そしてつま先とかかとの幅が普通の靴下よりずっと広く、たっぷりとってあるのです。それがよい靴下のしるしだとか。きっと履き心地も抜群なのでしょう。
今まで安い靴下を使い捨てのようにしていた暮らしを改め、タビオの靴下を愛用し、友だちにも広めて、国内産コットン栽培を応援したいな~と強く心に誓いながら帰途につきました。
タビオのみなさま、貴重な圃場見学と勉強会の機会を設けて下さり、ほんとうにありがとうございました。すてきな靴下のおみやげもうれしかったです。
この場をお借りして、JOIA一同、心より御礼申し上げます。
現地を見学し、当事者のお話を聞く…それはものづくりのストーリーを知ること、そしてストーリーあるものを身につけることがもたらす生活と心の豊かさ…JOIA関西支部では、そうしたオーガニックが結ぶご縁をこれからも大切に育てていきたいと思います。
(畑節子)
貿易ゲームで大興奮!
7月18日、JOIA夏の例会は、「フェアトレードの必要性を知るワークショップ」。タイトルが悪かったのか
いまひとつ反応が鈍かったのですが(そのあとの納涼会のみ参加という方が何人いらしたか!)、今回は、
JOCAのみなさんとの共催で、ワークショップとしてはちょうどよい人数が集まりました。
フェアトレードラベルジャパンの方々のリードに従い、グループにわかれ、しのぎをけずって大興奮(?)
の時間でした。この盛り上がりを期待せずに参加した方も多かったと思いますが、久々のヒット、でした。
参加した感想を江藤さんにお願いしたら、楽しいメッセージをくださいました。しかし、これではネタバレ、
になってしまうということで、書き直してくださいました。ゆえに、ちょっと堅い印象ですが、解説してし
まうと、次にご参加される方がつまらないので、お許しください。
***
今回参加したワークショップは、フェアトレードを理解するためのお勉強?
と思っていましたが、違いました。
詳細はネタバレになるので控えますが、研修終了後の感想は、
「経済のグローバルな動きは、実は個々人の考え方や行動に帰結する。」
という事を実感しました。
大変興味深かく、楽しめた研修でした。(江藤諮)