皆様
NHK土曜ドラマ「限界集落株式会社」4話と5話(最終回)が終了しました。そこで、前回投稿の妄想ドラマ「限界集落と大内家の有機JAS」の4話と5話も発表したいと思います。4話と5話はまさに有機JASが本編のテーマとなり、裏妄想シナリオも細かくなっていきます。
妄想ドラマ 第4話 萩野鉄平の有機JAS認定
正登が有機JAS認定を取得した翌年、集中豪雨で冠水をしたが、観光農園をはじめ、正登の畑の周囲からの土砂の流入は皆の協力でなんとか食い止めることができた。雨が止んだあとの写真をとり、登録認定機関「ふるさと農業センター」に送付し、1週間後には、ふるさと農業センターから検査員が来て、慣行圃場の土砂の流入のないことの確認を受け、有機履歴は継続できることが確定した。収穫物がほとんどない中、母のもちきび(もちとうもろこし)が思わぬ反響をよび、来年は村をあげてもちきびの栽培をすることになった。そんな中、村の若手生産者萩野鉄平から有機JAS認定を取得したいと相談を受けた。しかし、萩野家の畑はすべて慣行農法、鉄平が有機栽培しているのは、自家用の一部のみ、来年もちきびに有機JASをつける分としては面積が足りない。ちょうど、離農した小野さんの畑のうち20a分がずっと無農薬無化学肥料でやってきていたので、その畑を借り受けて有機JASの面積を増やすことで計画をたてた。
鉄平は、もちきびの収穫までに認定を取得できるよう取り組んでいた。しかし毎日忙しく、野菜の収穫と包装・納品、有機圃場での雑草とり、虫対策に追われた。研修生に「有機殺虫剤の木酢液をとってきて」と思わず口走ったが、ああ、木酢液は有機殺虫剤ではなくて、植物の活性力強化の目的で散布するんだったと、テヘペロと顔がにんまりした。しかしその研修生が突然の失踪。有機JASの内部規程のワープロ打ちを研修生に頼んでいたのでなれない作業が加わることになり、それでなくても忙しいのに、寝る間もなく作業をし、イライラがつのったうえ、熱中症になりかねないような猛暑の中、もうろうとした状態で家にもどり、気づかぬうちに赤い把手の農薬散布機を木酢液の散布機と間違えて畑にまいてしまった。
大宮の独立行政法人農林水産消費安全センター(FAMIC)では、登録認定機関ふるさと農業センターの事業所調査の一環として買い上げ調査の計画をたてた。今年は買い上げ調査の対象に、直売所を選択することとし、トマリ直売所もその対象に含まれた。そこで、萩野鉄平の有機もちとうもろこしから農薬が検出された。FAMICは、農林水産省消費安全局表示規格課の監視班と相談し、とりあえずこの状況を販売者であるトマリ直売所に伝えることとなった。
妄想ドラマ 第5話 有機JAS認定の行方
FAMIC事務所で、本省の監視班と合同の会議が開催された。調査結果は、うっかりミスに該当するレベルであることが聞き取り調査でわかった。これで行政処分を課すべきか、行政処分となると平成24年の加工品に対する表示の抹消命令以来である。しかし、このとうもろこしはすでに表示は自粛しており、抹消命令を出すまでもなく、書面による事実の確認のみとした。一方、登録認定機関ふるさと農業センターにも一報した。すでにマスコミでもこの件は取り上げられており、ふるさと農業センターでもアクションをはじめているとのことであった。それにしても、監視班とFAMICが合同で調査にいったことが、農業新報の記者にわかったことが解せないと会議で話題になった。当日記者が直売所に来てひと悶着あったらしい。どうやら別の取材でトマリファームに行くつもりであった記者が、農水省のユニフォームで訪問していった職員を見たのが、気づかれた原因らしい。ここは普通のスーツでいったほうが気づかれなかったかもねと、課長補佐につぶやかれた。
ふるさと農業センターにおける調査においても、故意ではないという判断になったが、ここでも激論となり、格付停止処分か認定の取り消し処分か、判定会議で意見が二つにわかれ大もめにもめた。結論として、認定の取り消し処分が決定された。弁明の機会を与える会議の通知を出したが、時を同じくして鉄平の父が脳梗塞で倒れて、弁明をする会議に参加できないと連絡があり、代理人として同じ集落内の認定生産管理者大内正登が、意見の陳述に参加した。正登は農薬の散布は故意ではないこと、散布したのは1圃場だけでもう1圃場では何も使用していないことなどから、寛大な処置を要請したが、結果は当初の結論通り取消となった。しかし、1年を超えればもう1圃場を利用して再認定申請が可能であることが付記された。
その次の年、偽装問題と騒がれた前年から徐々に売上が持ち直すようになり、秋の収穫祭を迎えた。東京の夜のクラブで瑞希がもちきびを50本、1本3,000円で売ったことを聞かされた正登は、瑞希の陰ながらの応援に感動し、復縁への思いが募るのであった。こちらの行方はと期待するうちに、湘南乃風のエンディング曲「ロード」が流れ、妄想はお預けとなるのであった。